差し伸ばされた腕が、誰を抱き上げるのか。
 いつも息を詰めてそれを見守る。
 紅蓮の炎、舞い上がる黒煙、頬を指す火の欠片。
 じりじりと焼け落ちていく髪。
 熱い……
 呻いて、叫ぶ。……さん――
 その腕は、誰を選ぶのか。
 その先の情景はいつもやってはこない。
 足から、指から、炎に絡め取られていく。
 呼吸が止まり、そして、やがて心臓も止まる。
 そして、――いつもそこで目覚める。

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