――生と死がぎりぎりで、背中合わせになる瞬間。 眼を開けた時、そこが辿りつきたかった場所だと知った。 旅行中にこじらせてしまった風邪。少しだけだるかった。 この山中で、完全に悪化してしまったのかもしれない。 案内役として同行してくれた梺の村の少年が――手を伸ばし、何かを指し示している。 山間の間から溢れる朝陽。金褐色が一面に広がる空、そしてどこまでも広がる大地。 その輝きを、その、地球の命の煌きを―― 一番に見せたいのは、ただ、一人だけなのに。 (綺麗だな、嵐) 声が聞こえた。――幻聴かと一瞬迷う。 (馬鹿だな、何を驚いてる。俺たちは、ずっと一緒だったじゃないか) ああ、そうだ……。 (地球に生まれたことを――俺たちが生きてるってことを、実感するな) そうだ、そうだな。 俺たちは、ずっと、一緒だった。 今も、そしてここに来る前も。これから先も――。 |