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「それにしても、あれほどお元気そうに見えましたのに……」
 ルシエはそっと溜息をついて、お茶の碗に唇をつけた。
「連日の催しで、お疲れになってしまわれたのでしょうか。鷹狩りでお倒れになった時は、お顔の色がまるで蝋のようだったと、父が申しておりました」
「そう……」
 ユーリが、倒れた……。
 クシュリナは、眉をひそめたまま、零れそうな溜息を噛み殺した。
 青百合宮殿(フラウ・オルド)の応接間。
 温かな午後の陽ざしが差し込む中、クシュリナは薫州公松園フォードの娘、ルシエと向かい合っていた。
 金波宮に滞在中のユーリが、実は病に伏せているらしいという噂を耳にしたのが、一昨日のことである。
 あの舞踏会の夜から、早十日が経とうとしていた。
 ルシエは、オルドで伏せっていたクシュリナの見舞いに来てくれたのだが、そのルシエを引きとめ、無理にお茶に誘ったのはクシュリナだった。
 どんな情報でもいい、少しでも、ユーリの近況が知りたかったからだ。
「ごめんなさい、ルシエ。せっかく薫州公様がお帰りになっておられるのに」
「私のことなど」
 ルシエは控え目な微笑を浮かべた。「それに、父は出歩いてばかりおりますの。夜くらいにしか顔を合わせる機会はございませんわ」
 紫微花のドレスをまとったルシエは、いつものように美しい髪をしどけなく肩に垂らしている。
 結髪に銀粉や宝玉を飾るのが流行の社交界で、彼女の髪型は少しばかり異質なものだったが、その孤高さがルシエの雰囲気によくあっていると、クシュリナは内心思っていた。
 それだけでなく、ルシエは、社交界の他の人たちとはどこか違う。それは彼女がもつ、憂いを帯びた眼差しのせいかもしれないし、滅多に笑うことのない    寂しげな表情のせいかもしれない。
 五公の名門、松園家の悲劇は誰もが知っていた。ルシエには兄がいた。松園フォード公が手元におき、目に入れてもかまわぬほどに愛した息子である。が、十四の齢、社交界お披露目を目前にして不慮の病で死んでしまった。   もともと皇都嫌いだったフォード公が、ますます社交界嫌いになったのもその頃だし、松園家が   実質、皇都と薫州に別れてしまったのもそのせいだと聞いている。
 以来、皇都は妻が、薫州は夫が統べ、夫婦は実質他人も同然の暮らしを送っている。
 皇都に暮らすルシエは当然母寄りだが、同時に父にも愛されている。そういった複雑な事情が、ルシエの表情を普段からもの哀しげに見せているのかもしれなかった。
「ユーリ様は、もともとお身体がお悪いのでしょうか?」
 クシュリナの遠慮を察してか、いたわるような口調でルシエが訊いた。
「なにやら深刻な持病をお持ちのようだと、父は。   姫様は、それを心配しておいでなのですか?」
 クシュリナは慌てて首を横に振った。
「確かに、昔から丈夫な方ではなかったけれど、悪い病ではないと聞いてるわ。癇の強さからくる発作のようなものだと……」
「まぁ……」
「同じ原因で倒れたのだとしたら、五日程度は伏せられたままではないかしら」
 青州時代、年に数回はそんなことがあった。びっくりするほど元気だったものが、いきなり、何の前触れもなく倒れ、寝込んでしまう。
 そこに、一定の決まりごとがあることに気がついたのは、青州を出る間際になってからだが、結局は問いただすことができないまま、クシュリナは青州を後にした。今でもそれは、心残りのように胸の底に淀んでいる。
「確かに、ユーリ様のことなら心配には及ばないと青州公様も仰っておられたそうですわ。それでも……」
 言葉を切り、ルシエは憂いを帯びた瞳でクシュリナを見上げた。
「このたびの皇都入り、青州公様の身辺はどこか異常だと、父が申しておりますの。ユーリ様への面会は厳しく制限され、グレシャム様もユーリ様も、公式行事以外では一切外出されないそうですわ。……以前のグレシャム様でしたら、皇都においでの度に各諸侯の舞踏会に出席されておいででしたのに」
 確かに、言われるとおりだった。遊行家のグレシャムが、皇都に滞在中、客宮から外に出ないなど今までない。
「青州公がお泊まりになっておられる本殿の白蘭宮殿(オルド)に、連日バートル隊が詰めているというのは、本当でございましょうか?」
「ダーラは、人手が足りないからだと言っていたわ」
 クシュリナは呟き、睫を伏せて嘆息した。
 あの夜以来、クシュリナは青百合オルドから外に出ることが許されず、父のハシェミにさえ面会することが叶わないでいる。
 むろん、舞踏会で、バトゥ、カナリーの面々と起こしてしまった騒動のせいだろうし、この件に関して、ハシェミが相当怒っていることも理解している。
 ただ、自身は謹慎程度で済んでも、あのエレオノラとサランナ相手に暴言を吐いたユーリが、いったいどのような目にあっているか、   想像するだけで、クシュリナは不安でならなかったし、ルシエに言われるまでもなく、青州公にぴったりと付いていたバートル隊の存在も気になっていた。
「ルシエ、お倒れになったユーリ様のご様子を、伺いに行ってもらうことはできないかしら」
 ユーリに、せめて手紙でも届けたい。元気かどうかだけでも確かめたい。
 ダーラに言えば、なんとかしてくれることは判っていたが、同時に、たしなめられることも判っている。舞踏会の夜以来、クシュリナはダーラとの間に、少しばかり心の距離ができたことを感じている。
「御見舞でございますか?」
 難しいのか、ルシエは美しい瞳を曇らせる。
「私の立場では……無理ですわ。でも父が、一度挨拶に伺うと言っておりますから……あるいは父なら、面談の運びになるのやもしれません」
「フォード公爵が?」
「ええ、御承知のとおり、父は舞踏会の翌日に皇都入りいたしまして……いずれクシュリナ様にもご挨拶に伺うと申しておりますから、丁度よい機会かと存じます」
 公式行事である舞踏会を見事にすっぽかしたことを恥じているのか、そこは、少し申し訳なさそうに、ルシエは形良い睫を伏せた。
 ルシエの父、松園フォード公爵は、甲州公、奥州公、青州公、薫州公、潦州公からなるイヌルダ五公の一人である。確かにフォード公爵の申出なら、青州公であってもむげには断れないに違いない。
「もしよろしければ、ユーリの様子を私に伝えてほしいと、……フォード様にお願いできないかしら」
 一縷の望みを込めて、クシュリナは懇願した。しょせんルシエも、ハシェミの命を受けた取り巻きの一人であることは心得ている。ハシェミが許さないことであれば、首を縦に振るはずがない。
 が、一瞬たじろいだ気配をみせたものの、ルシエは力強く頷いてくれた。
「よろしいですわ。私のほうから父にお願いしてみます」
「ありがとう、ルシエ」
 ようやくほっとして、クシュリナは長椅子に背を預けた。
 卓に並べられた茶は、もうすっかり冷めてしまっている。
 冷めたお茶に視線を落としながら、ルシエは物憂げに瞬きをした。
「それにしても、なんだか今回は、おかしなことばかりですわ。いつもなら青州公がおいでになると、皇都全体が華やいだ感じになりますのに」
「そうね……」
 クシュリナも、小さな溜息をもらしている。
 確かに、今回の青州公の皇都入りは、いつもとどこか違っている。
 そもそも、公がユーリを州外に連れだすこと自体が、ありえない珍事だった。
 青州でのユーリは、まるで籠の鳥のようだった。大切に囲われ、城から外に出ることさえ許されない。病弱だから   というのが説明された理由だったが、それだけではない他の理由があることを、クシュリナは薄々察している。
 だから、この度、ユーリが初めてグレシャムに同行していると聞いて、飛び上がるほどに喜んだのだ。
「あくまで私が耳にした噂ですけれど、弟君のダーシー様が、グレシャム様を亡き者にするために、暗殺者を放ったのだという話もございますわ。だからバートル隊で護りを固めているのだとか……」
「まさか、それは有り得ないわ」
 クシュリナは即座に否定する。ダーシーに限って、それはない。
「いずれにしても、青州公様の周辺に、不穏な気配が漂っているのは、確かなようですわ。この金羽宮で、やっかいなことでも起きなければよろしいのですけれど」
 ルシエは美しい眉を翳らせたまま、そんな風に締めくくった。
 
 
                    
 
 
 松園フォード公爵が、青百合オルドを訪ねてきたのは、ルシエと会した翌日の夜のことだった。
「ユーリ様なら、旅のお疲れが今頃出たのだろうというお話でした。なに、ご心配には及びません」
 ルシエの父、薫州公フォード公爵は、古より最も攻防が激しいと言われるイヌルダ西部の国境を護る大諸侯の一人である。
 灰色狼(アッシュ・ウルフ)
 フォードにつけられた通称は、彼が愛用している狼を模した兜と、その兜を飾るたてがみのごとき灰色の獣毛からきている。
 が、がっしりとした見事な体格、真実たてがみのような鋭い髪、爛と輝く紺碧の瞳、フォード公はまさに灰色の狼そのものだった。滅多に皇都に顔を見せないだけに、現れれば誰もが畏怖する風貌の持ち主である。
 フォードは、オルドの長椅子にどっかと腰を下ろすと、用意された杯を恭しく持ちあげた。
「実のところ、青州公の御子息よりも、お身体がご丈夫ではないクシュリナ様のほうが心配でした。皇都に戻られて二年、そろそろ社交界にもお馴れになられましたかな」
 ハシェミより二歳年上のフォード公は、クシュリナを幼い頃からよく知っていて、皇都に戻る度に、なにくれとなく気にかけてくれる。
 父の生家右京家と松園家のつきあいは、かねてから親密であったという話だが、その交流も、フォード公の愛息の死以来、やや薄らいでいるとの噂だった。   というより、今や薫州松園家は、五公の中ではどこか浮いた存在となっている。
「おかげさまで、ルシエ様に助けられておりますわ」
 クシュリナは微笑した。どんな風評を耳にしようとも、クシュリナにとってフォードとは、皇都にあっては数少ない、頼りにしてよい存在である。
 たまに皇都に寄る度に、必ずフラウオルドを訪ねてくれるフォードに、クシュリナもまた、肉親にも似た親しみを覚えていた。
「皇都には、いつまで滞在されるのですか」
「いや、実は今夜にでも、薫州に戻るつもりでおります」
「まぁ」
「……あちらも、何かと大変でしてな。いや、単に私が、皇都が苦手なだけなのですが」
 五公ともなると、皇都に豪奢な本邸を構え、領地は家臣らに護らせるのが常である。が、薫州松園家と青州鷹宮家は例外だった。
 薫州は、海を隔てた北西の二国、ゼウス、ウラヌスを背負っており、青州は南のナイリュ(現蒙真国)に面している。つまり二州は、イヌルダの大切な防衛線であり、故に領主は、地から離れられないのだ。
 鷹宮家は代々青州に根を下ろし、松園家は薫州と皇都にそれぞれ居を構えているのである。
「そのようなお忙しい折に、……本当に申し訳ございません」
「なに、退屈な皇都では、他にすることもございません。それに噂に高い青州公のご子息とやらを、一度拝見しておきたかったですからな」
 一瞬垣間見せた気鬱さを吹き消すように、豪快に、フォードは笑った。
 背後では、ダーラが酒食の膳を揃え、女官たちに指示して運ばせている。
 フォードは澄んだ青の瞳で、ちらりと背後を窺うと、「酒も食事も結構でございます。それより……」
 その目色で、クシュリナは彼が、人払いを望んでいるのだと察し、ダーラにそっと目くばせした。
「すみませんな。姫様にお気を遣わせてしまったようだ」
「いえ……お呼び立てしたのは、私のほうなのですから」
 何だろう。もしや、ユーリのことだろうか。
 いずれにしても、フォード公からこのような形で人払いを求められたのは初めてだ。
 さりげなく背後に視線を配ってから、フォードは低い声で囁いた。
「姫様は、カタリナ派というのを、お耳にされたことはございませんか」
「……カタリナ派?」
 予想もしなかった言葉に、クシュリナは眉をひそめている。
 どこかで聞いた名称であるが、すぐには出てこない。
「実のところ、近年、ゼウスやウラヌスでは、庶民が武器を持って領主に戦いを挑む愚行が、再々起きているのです。その裏には、民は平等であるべきだとか、貴族制をなくすべきだとか、恐ろしい世迷いごとを農民どもに説き、扇動している連中がいるのだとか」
    カタリナ派……。
 喉に、何かがひっかかったような感覚である。
 フォードは、藍色の目を鋭く翳らせた。
「私がひそかに彼の国に人をやって調べさせましたところ、どうも、カタリナ修道院を出た連中が、そういった思想を説いて回っているようなのです。お聞きになったことはございませんか? 法王庁が庇護している……、貴族の子息なども通う名門の修道院です」
 あっと、クシュリナは、小さく口の中で声をあげていた。
「ゼウスやウラヌスからも、カタリナの高名を頼って何人もの貴族が子女を入門させております。私はかねてより同院の動向をあやしく思い、ひそかに監視させていたのです。……まだ詳細は判っておりませんが、どうやらカタリナ修道院を出た者どもの間で、一種の派閥が作られているのではないかと」
 カタリナ修道院。    聞いたことがあるはずだ。ラッセルとダーラが幼少時を過ごした修道院のことだ。
「きゃつらは、その派閥をカタリナ派と称し、それを一種の勲章のごとく得意げに振る舞っておるのだとか」
 苦々しげに呟くと、フォードは太い足を組みかえた。
「他国で起きている異変ゆえ、皇都では誰も深刻に捕らえる者はおりません。が、私自身は、大変危惧しているのです。このような思想を、万が一イヌルダで広められたら……世が世だけに、民の心は簡単に迷ってしまうのではないかと」
「……リュウビの時が、迫っているからですね」
 青の月がシュミラクールに最接近する時、世界は災いで満たされると言い伝えられている。
 五百年に一度のその時は、リュウビとリュウズと呼ばれ、それは十五年後に迫っていた。
「民は無知です……ゆえに、根拠のない言伝えを簡単に信じてしまう」
 フォードは苦く微笑した。
「言伝えなど、私は爪の先ほども信じておりませぬが、神を冒涜する獣といい、原因不明の疫病といい、今、人心が迷い乱れているのは間違いございません。そのような中でカタリナ派の動きは、決して見過ごせるものではないのです」
 言葉を切り、フォードは軽く息を吐いた。
「なのに、近年、皇都では、カタリナ修道院を出た連中を重用するむきがございます」
 クシュリナは黙っていた。
 父、ハシェミが、まさにその急先鋒だったからだ。
「バートル隊のジュールもカタリナの出身ですし、実は、……クシュリナ様のお傍にいる者は、すべからくカタリナの関係者なのです。第一女官のダーラも、以前お傍にいたラッセルも」
「それは知っています。でも」
 フォードを遮ったものの、クシュリナは言葉に迷ってうつむいた。
「ダーラやラッセルは違います。……公が仰るような真似は、決してしないと思いますわ」
「確かに皆が皆そうだと言うのではないのです。しかし……」
 公もまた、言いにくそうに言葉を濁す。
「カタリナ派の背後に、もしコンスタンティノ法王がついていたら、いかがなさいます。ゼウスやウラヌスの叛乱が……全て、法王家の指示のもとに起きていることだとしたら」
「………」
「こればかりは、私は杞憂を抱かざるを得ない……。現法王コンスタンティノ・ルーシュ様は、全く腹の底が見えないお方。出自の判らない男を養子にし、それを姫様と結婚させようなど、近年のお振る舞いは正気の沙汰とも思えませぬ」
 それは、暗に   いや、おおっぴらに、法王コンスタンティノ家と皇室との結婚を反対している。
 クシュリナは黙っていた。全ては父が諮って決めたことだ。それを、どのような言葉で批判されようと、返すべき言葉は何もない。
「これは……私の言葉がすぎたようです」
 フォードも、それを察したのか、気まずげに咳払いをした。
「いずれにせよ、カタリナ派の者を信じすぎてはなりません。姫様はまだ幼く純粋でいらっしゃる。かような者どもの思想に冒されてはならぬと思い、あえて進言に伺いました……御無礼をお許しくださいませ」
「父と、その話は」
 その問いには、フォード公の表情が明らかに翳りを帯びた。
「ハシェミと話ができるようなら、私がこちらに伺う必要などなかったでしょう」
 クシュリナは黙って、その意味を胸に収めた。
 カタリナ派の存在より、父とフォード公の間にある溝を思い知らされたほうが不安だった。
 一度決めたことを決して覆さないハシェミの性格を知っているクシュリナは、二人の意見の相違に決着がつかないことも予感している。
「随分長いお話でしたけど、あのフォード様が、いったい何の御用だったのでしょう?」
 フォードが辞去した後、すぐにやってきたダーラは、訝しげな目でクシュリナを見た。
「ええ……大した話ではないわ。ユーリのことで、ご注意を受けただけよ」
 戸惑いながらも、クシュリナは誤魔化して立ち上がる。
 ダーラが、フォード公の言う所のカタリナ派……、だからといって、何かが変わるとも思えなかったが、やはり舞踏会の夜以来、どこなくダーラと距離をあけている自分がいる。
「そうでございますか……」
 何も言わないが、なまじ気心が知れているだけに、ダーラもクシュリナの変化を察しているのだろう。
 かすかな嘆息を漏らすと、ダーラは卓の上を片付け始めた。
「私が舞踏会の夜、心ないことを言ったからですか」
「え?」
「怒っておいででしょう。こそこそとルシエ様を使ってユーリ様の動向を探らせてみたり……姫様のなさることは全て筒抜けなだけに、危なッかしくてみていられません」
 さすがにむっとしたが、図星なだけに何も言えない。
「もう休みます。それに、別に怒ってなどいないわ、私」
「お会いになりますか、ユーリ様と」
 背を向けて歩き出していたクシュリナは、足を止める。
 ユーリと、会う?
 ダーラが言った言葉の意味が、すぐには頭に入ってこなかった。
「明日の夜、グレシャム様が宮を出られる予定になっております。わずかな時間ではございますが、私がなんとか手筈いたしましょう」
「……ダーラ」
 驚きながら、クシュリナはダーラを振り返った。
「本当? 本当にそんなことができるの?」
「現金な姫様ですこと。もうお顔が輝いていらっしゃいますよ」
 笑うダーラに、クシュリナは駆け寄って抱きついている。
「ま、姫様ったら」肩に回されたダーラの手は優しかった。「本当に子供のようでございますよ」
「……ごめんなさい、ダーラ」
「こういう時だけ、素直でいらっしゃるのだから」
 不思議なほどに安堵して、クシュリナは再度ダーラを抱きしめた。
 ユーリに会えるのはもちろんだが、ダーラとのわだかまりが解けたことの方が、嬉しかったのかもしれない。  
 
  
 
 
  
 
 

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