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雨――?
明凛は薄く目を開いた。なのに視界は閉ざされたまま、頬に落ちる雨粒だけが意識として感じられる。
誰かの温かい手が、力強く自分の手を包み込んでいる。
――好きです……
誰……?
――あんたが、好きです。……愛してます。
誰?
沢村さん?
――お願いだから、俺のことなんか忘れて、幸せになってください。お願いだから……。
泣かないで。
沢村さん、泣かないで。
私も、沢村さんのことが――
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ふっと明凛は目をあけた。
錯覚でなければ、自分の部屋の天井が見える。
数度瞬きして、我に返ったように半身を起こした。早く捕まえないと、せっかく掴みとったと思った何かがまた消えてしまう。そんな焦燥が胸いっぱいに溢れている。
「沢村さん」
「――明凛」
別の声がそこに被さる。咄嗟に、夢と現実の判別ができなかった。
明凛は呆然としたまま、自分の手を握る男を見上げた。
――直斗……。
「よかった。貧血だろうとは思ったけど、なかなか目を覚まさなかったから」
どうして?
蘇った記憶を整理する間もなく、明凛は自分が沢村の部屋で倒れたことを思い出した。
外は夜の闇に包まれている。
時計の音だけが静かに響く。
「……何時?」
この場合、あまり意味のないことを明凛は聞いた。
「一時。腹減ってんなら、なんか作ろうか」
答える直斗は、パソコンデスクの椅子を引き寄せて座っている。
シャツにネクタイ。下は先日会った時着ていたスーツだ。
明凛が視線を下げて首を横に振ると、直斗は軽く息を吐いて、明凛から手を離した。
「家には、誰が送ってくれたの」
「俺。……連絡があったから。迎えにきてくれって」
「誰から」
「…………」
大きく息を吐いた直斗が立ち上がった。
「連絡くれるやつなんて、あの状況じゃ一人しかいないだろ」
「…………」
「空港に行く途中だったけど、タクシーUターンさせて駆けつけたよ。生憎お袋さん、旅行中なんだって? 悪いけど鍵は、お前の鞄から勝手に探させてもらった」
「…………」
――夢だった……。
確かに沢村さんが側にいてくれたと思ったのに、それは全部、妄想だった。
愛していると言われた気がした。それも、全部……。
馬鹿だな。私も。
そんなこと、現実にあるはずがないのに。
もう、何もかも終わってしまったことなのに。
明凛は目を細めて、ようやく直斗を正面から見上げた。
「直斗がここまで運んでくれたの」
「案外重かったけどな」
少しだけ言葉に詰まる。
反論したい衝動にかられたが、二階のこの部屋まで意識を失った人を担いで上がるのは、確かに相当な重労働だ。
「……そんなに体重、変わってないけど、……迷惑かけてごめんなさい」
「鍛えてるから、平気だよ」
少し眉をあげ、直斗はようやく微笑した。
「一応、人命救助の訓練も受けたんだ。それがようやく実践で生きた」
「そこまで大袈裟にいうことなの」
明凛も思わず微笑している。
そしてふと思った。多分、今、数年ぶりに、二人の空気が元に戻ったのだ。
「……ずっと、側にいてくれた?」
「いたよ」
「手も、握っててくれたんだ」
「ていうか、手首な。脈が弱いのが気になったから、ずっと手を添えてただけだ」
照れたようにそう言うと、直斗はベッドに腰かけた。
見つめられ、明凛は戸惑って瞬きをする。
「基地に戻らなくて、よかったの」
「いいよ。どうせまだ休暇中だ」
「随分長いのね」
「そりゃ、遠くに異動になるからな」
「どこに行くの? 遠くだってことは、以前紫凛から聞いたんだけど」
直斗は苦笑し、ようやく視線を前に向けた。
「今夜は、えらくお喋りだな」
「そんなことないけど」
「心配しなくても、襲わないよ。だいたい、その気ならとっくにやってる」
見抜かれて、明凛は少し赤くなる。
「……ごめん」
「いいよ。この状況じゃ警戒するのも当然だ。もう、お互い子どもじゃないんだし」
「…………」
「お前の部屋も、随分様子が変わったよな。いかにもビジネスウーマンの部屋って感じで」
懐かしそうに視線を巡らせた直斗は、膝の上で指を組み、少しの間無言になった。
「アメリカに行くんだ」
え……?
さすがに明凛は、驚きで息を飲んでいた。
「アメリカ? それ、どういう意味?」
「詳しいことは機密扱いだから言えないけど、当面はあっちの空軍と合同で演習することになると思う。少なくとも2年は、向こうで暮らすことになるのかな」
明凛は眉をひそめていた。
「いつ、発つの」
「来週。金曜には日本を発つつもりだ」
「……紫凛は、知ってるの?」
「知ってるよ。だから紫凛も、この機に片をつけたいと思ったのかもしれない」
「…………」
紫凛……。
まだあの夜から、明凛は一度も妹の声をきいていない。
「……紫凛とは、あれから?」
「今日、部屋に行ったら荷物は全部運びだされてた。連絡はつかないし、向こうからもないよ」
「……そう」
「あったのは、これだけだ」
直斗が、ポケットの中から折りたたんだ薄い紙を取り出した。
双方のサインと印が押された離婚届――
直斗の押した印は薄く掠れ、逆に、紫織のそれは昨日押したように鮮やかだ。
「不思議だな。ずっと紫凛が離婚しないって意地張ってたのに、むしろ今は、その紫凛が誰より自由になれた気がするんだ。……紫凛もずっと俺に縛られてたんだなって、そんな風に思えたよ」
「…………」
「今思えば、やり直す方法は色々あった気もするけどな……。まぁ、もう、終わったよ。何もかも」
終わった……。
これで本当に、何もかも終わったのだろうか。
「ついてこないか?」
「どこに?」
「アメリカ。俺の奥さんになって」
「…………」
目を見開いた明凛は、答えられないまま、隣に座る直斗を見上げた。
が、直斗はすぐに表情を崩して視線を逸らす。
「嘘だよ、嘘」
「え?」
「信じるなよ。来週の金曜だぞ。いくらなんでも急すぎるだろ。だいたい明凛に仕事やめろなんて、そこまで理不尽なこと言う気ないし、俺」
「ちょっと――」
この空気で、冗談なんて言う?
直斗は笑いながら、明凛の出した拳をよけた。
「でも、後段の答えは、日本を発つまでには教えてほしい」
「なによ、それ」
「結婚。できれば日本にいる間に、籍だけでも入れたいから」
「…………」
今度こそ、明凛は動きをとめていた。
そっと直斗が手を重ねてくる。明凛は黙ったまま、直斗の無骨な指が自分の手を撫でるのに任せていた。
「聞いたよ。俺のことで、おかしな男に脅迫されてるんだろ?」
誰に聞いたの、とは訊かなかった。
もう、それが誰だろうと、どうでもいい。
そういう意味では、本当に終わってしまったのだ。
「俺はいいけど、明凛にへんな傷がついたら俺が自分を許せない。二年前は過ちでも、それを本当にしてしまわないか? 残酷なようだけど、一度流通した写真はもう二度と取り戻せない。これからのことを考えたら、それが一番いいような気がするんだ」
「……………」
反論は、なにひとつ思い浮かばなかった。
そうね。それがダメージを最小限に抑える、ベストな危機管理対策かもしれない。
そのあたりは、一地方公務員より直斗の方が、よほどよく考えている。
「とか、色々言って、本音は明凛を、もう誰にも盗られたくないからなんだけどさ」
苦笑した直斗が、そっと明凛の肩に腕を回した。
「お前は強いから、本当はそんな脅迫どうでもいいって思ってることも、ちゃんと知ってるんだけどさ」
「……………」
「それでも、結婚してほしい。……俺と」
「……………」
「待ってる……何年でも」
写真が大道の手に渡った件で、紫凛のしたことに一言も触れない直斗が、ふと愛おしくなった。
この人はこうして、いつも紫凛を庇い、守ってくれた。
どれだけ裏切られ、傷つけられても、彼が紫凛を悪く言ったことは一度もない。
他の誰でもない。明凛がその役目を直斗に託したのだ。
直斗が本当に好きなのは、自分かもしれないと思いながら――それはなんと残酷な委託だったのだろうか。
もう、開放してあげないといけない。
紫凛じゃない。直斗をずっと縛り続けていたのは私だったのかもしれない……。
「婚姻届は、どっちに出すの」
辛そうだった直斗の顔が、不意に歓喜に輝いた。
「そ、そうだな。そりゃ、あっち……あ、いや、待てよ。俺の本籍が灰谷市だから」
思わず明凛は笑っている。
「自分から言い出したくせに、動揺しないで」
「するよ。だって、絶対断られると思ったから」
「嘘。自信満々に見えたわよ」
そっと屈みこんだ直斗が唇を寄せてくる。そのまま目を閉じようとした明凛は、無意識に顎を引いていた。
「ごめん……まだ、今は」
「いいよ。明凛の性格は判ってるから」
「ありがとう……」
「ごめんな。こっちこそ」
大きな腕に抱きしめられる。明凛は躊躇いながら直斗の肩に頬を預けた。
まだそんなに器用にはなれない。
直斗には残酷すぎて言えないけど、まだこの心にも身体にも、沢村さんが残っているような気がするから。
「よく人に言われるけど、私ってやっぱり冷めてるのかも」
ふと思い出して明凛は言った。
「どんなに悲しくても嬉しくても、絶対に泣けないの。今だってそう。ちょっとは感動して目を潤ませるくらいしてもいいのにね」
「俺の目が潤んでる」
明凛は笑って、そんな直斗の背を叩いた。
「うちの母がそんな人だから、遺伝ね、これは。冷血人間病。多分この先何があっても、泣かないような気がするわ。私」
「遺伝っていうより、無意識にそうありたいと思ってるんじゃないか」
「どういう意味?」
「明凛のお袋みてると、時々すごく悲しくなるんだ。なんでそんな肩肘張って生きるんだろうって。もっと人頼ったり甘えたりしたらいいのにって」
「…………」
「明凛はさ、そのお母さんと二人で、ずっと苦労して生きてきたからさ」
「…………」
「お母さんの生き方を全肯定してあげたいって、どこかで願ってるんじゃないかと思う。……でも、もういいよ。無理しなくていいから、これからは俺にいっぱい甘えてくれ」
明凛は小さく頷いて目を閉じた。
そんな自分もまた、まるで想像できないけど。
でも……いいのかもしれない。そうやって、直斗と二人で生きていくのも。
「タクシー、呼ぶよ。このままじゃ自制もきかなくなりそうだ」
「ごめんね。泊めてあげられたらいいんだけど」
申し訳なくて見上げると、額にそっとキスされた。
「待つよ。……明凛がいいって思えるまで」
「……ありがとう」
それは、いつ来るのだろう。
明日だろうか、それとも何年も先だろうか。
知らなかった。人を好きになるのが、これほど怖いものだなんて。
誰かに奪われ、その誰かで満たされた心は、そう簡単には戻ってこない……。
「婚姻届のことは私が調べておくわ。用意できるものは、しておくから」
「本当に、いいのか」
明凛は少しだけ微笑して頷いた。
「……仕事をどうするかも、少しだけ考えさせて。答えは来週までには出せると思う」
「焦らなくていいよ。俺は別居婚でも平気だから」
やがてタクシーが来て、明凛は直斗を見送るために外に出た。
スーツケースを荷台に積み込んだ直斗が、ふと振り返る。
「明凛――」
「なに?」
明凛は微笑んで直斗を見た。けれど直斗の顔は、どこか険しく、寂しそうだった。
「今度はお前が、迷うなよ」
「…………」
直斗を乗せたタクシーが、夜の住宅街に消えていく。
明凛は立ちすくんたまま、しばらくそこから動けなかった。
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8
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「まぁ、辞めたものは仕方がないね。まだ25だというから、仕事もすぐに見つかるだろうし」
墨田局長がため息をついて顔をあげる。
そのデスクの前に立つ明凛は、申し訳ありません、と頭を下げた。
「色々話は聞いてみたのですが、慰留することは叶いませんでした」
明けて月曜日。
登庁した明凛の元に届いたのは、沢村烈士の辞表を人事課が正式に受理したという知らせだった。
事務手続きが終了するまではまだ市職員の身分ではあるが、その残日数は、年休で休みがとれる。
実際、週末の間に、沢村の私物は全てなくなっていた。
「――まぁ、あれだよ。素行的な部分によるところも、大きかったのかもしれないね」
ふと漏らした墨田の目が苦くなった。
「入庁時のいきさつを人事担当から聞いたが、中学では何度も補導され、高校では――やはり、なにかしら事件を起こして中退などしているようだし。成績優秀だったからかろうじて採用枠に残ったものの、人事もかなり迷ったようだよ」
明凛は黙って視線を下げた。
もう、沢村のことは何も考えたくない。
「こういってはあれだが、速やかに辞めてもらって、よかったのではないかね。何か事件を起こしたり、欠勤がこうじて懲戒免などになれば、課長である君の管理責任が問われかねない。せっかくいい条件で国に帰れることになったのだから――ある意味、不幸中の幸いだよ」
不幸中の幸い。
では、沢村さんは、少しは私の立場を考えていてくれたのだろうか。
いや、もうやめよう。あり得ないことを想像するのは。
明凛は無感動に頭を下げ、そして言った。
「申し訳ありません。そのお話なのですが、少し保留させていただいても、よろしいでしょうか」
「ん、まさかと思うが、国に戻ることを、かね」
墨田の眉が跳ね上がる。
「そりゃ、保留もなにも、国の人事が決めることだ。それともあれかね。何か、特段の事情でもあるのかね」
「もしかすると、生活の拠点を海外に移すことになるのかもしれないので」
淡々と明凛は言った。墨田は小さな目をぱちぱちさせる。
「おめでたい話かね」
「それは、まだ」
「まだ、とは……。それは一体どういう意味かね」
「…………」
一瞬狼狽した明凛は、それを隠すように視線を下げた。
上司に報告するには、まだ早すぎることは判っている。
そうだ。自分は今、逃げ道を自ら塞ごうとしたのだ。――でも何故、そんならしくない真似をしたのだろう。
「申し訳ありません。今週の終わりにはご報告します。国にもこちらにも、ご迷惑をかけてはいけませんので」
そうして一礼し、明凛は局長室を後にした。
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「か、かか、柏原ほ――じゃない、課長」
ひどくしゃちほこばった声に背後から呼び止められたのは、翌日の5時前。長い会議を終えた明凛が8階のエレベーターホールに降り立った時だった。
「雪村さん」
振り返った明凛は、少し驚いて居住まいを正した。
驚いたのは、いつもポーカーフェイスの雪村が、妙にぎくしゃくした顔をしているからだ。
「ちょ、ちょっと、その、お時間、よろしいでしょうか」
「いいけど、何かありました?」
雪村は元部下だが、役所人としては先輩である。最も見かけは妹みたいに愛らしくて、とても年上には見えないのだが。
「――すみません、すぐ終わりますので」
あっと言う間もなく腕を引っ張られ、明凛は階段の踊り場に連れて行かれた。その、いつにない男らしい行動にも、正直明凛は驚いている。
が、踊り場での雪村の第一声は、まるで予想もしていないものだった。
「――俺じゃないです!」
「………」
はい?
「俺じゃないんです。本当です。信じてください。状況的にそうとしか思えないかもしれないけど、本当に俺とは違います」
「ごめんなさい。あの、意味が、よく」
「だから違うんです。俺も顔見て仰天したっていうか。え、たった一発殴ってあれかよ、みたいな。そこまで絶対やってないだろ、みたいな」
「…………」
明凛は、数度瞬きをした。
「あの、一体、なんの話」
「沢村の怪我のことですけど」
雪村は声をひそめ、明凛ははっと息を引いていた。
明凛の変化をどう思ったのか、雪村は慌てて両手を振った。
「いや、だから違うんです。頼むから日高に聞いてください。本人、どう言ってるか知らないけど、俺、飲み会の席で一発殴っただけですから。こう――左の頬あたりに」
雪村は、ゆっくりと拳を振り下ろす真似をした。
飲み会の席――日高に聞く――沢村さんの怪我。
明凛はその意味を、その瞬間全力で考えた。まさかそれは、初めて彼の部屋に泊まった夜――彼が負っていた怪我のことだろうか。
「あれを、……雪村さんが」
「だ、だから違います。違いますって。てか、今まで何聞いてたんですか!」
雪村はますます泡を食ったように両手を振った。
「あいつ、右目も腫れてたし、足も少し引きずってたでしょ。そ、そんなことまで、俺の体力じゃ絶対に無理、あり得ませんから!」
「…………」
「聞いたら、なんかあいつ、先週あたりから無断欠勤繰り返してるとか。……ちょっとそれも、気になったんで」
「…………」
「あいつ、怪我のことなんて言ってました?」
急き立てるように、雪村は言った。明凛もつられるように顔を上げている。
「雪村さんのことは、一言も言っていなかったわ。ただ、飲み屋で絡まれたって」
「……金曜の夜にですか。あ、先週じゃなくて、法規係で課長の送別会をやろうとした夜のことですけど」
「そうだけど」
「あの、課長――その夜は、無事に沢村に会えたんですか」
それには明凛は、なんと答えていいか判らなかった。
「その……非常にききにくいんですけど、その夜にですね。課長のピンチを、沢村が颯爽と助けた的な――そんなことが、ありました?」
「そういうんじゃなくて、普通に会っただけだけど」
答えた明凛は、唇に指をあてていた。
もしかして――まさか。
まさか。
「沢村さん、……大明さんに会いに行ったの?」
沢村の心が見えなくなって以来、ずっと灰色でぼんやりしていた自分の世界に、初めて一筋の光が射し込んだようだった。
やはり彼は、私に何かを隠している。
ずっと胸に淀んでいたこの違和感は、決して妄想ではなかったのだ。
雪村が長い息を吐いた。
「やっぱり、知らなかったんですか……」
その雪村の腕を、今度は明凛が掴んでいた。
ぎょっと雪村が身をすくませる。
「何を知ってるの」
「え、何って、その、別に」
「私の何を調べたの? 全部話して。何もかも」
「いや、あのですね、特に、その、立ち入ったことまでは」
狼狽える雪村の腕を掴んだまま、明凛は彼を壁際に追い詰めた。
「そんなことどうでもいいから、話しなさい。一体あの夜、沢村さんに何があったの!」
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